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メンデニィザ   ~北島遠征記 その2

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Farallon de Medinilla  (メンデニィザ)






新艇「サンライダー号」は、いかにも若々しいエンジン音を轟かせながら
鏡のように凪いだ海面に白い航跡を真っ直ぐに描き続けている。
それは、真っ青な空にジェット機が飛行機雲を描くのに似ている。

二つのプロペラから湧き上がってくる、力強く白濁したウネリは、
またいつしか大海原に吸い込まれるように消えていく。



サイパンの中心部、ガラパンにある港を出てから
1時間半くらい経った頃だろうか・・・

遥か後方に、そこに島があると認識して目を凝らさないと見えないくらいに
サイパンが小さくなった所で、前方にはうっすらと、まだ小さくではあるが
確実に島が存在するのが分かるようになった。



Anatahan  (アナタハン) だと言う。



実は皆、北島遠征と聞いてワクワクドキドキしながら勢い良く船に乗り込んだものの・・・
どこまで行って、どんなポイントで潜るのか・・・よく把握していなかったのだ。
出航してから、目指すはアナタハンの手前の島、メンデニィザである・・・と聞かされたのだった。

アナタハンは見えても、その手前(厳密にはアナタハンの右手側)に島など見えてこず・・・
聞くと、メンデニィザはアナタハンよりもずっと小さく、平らな島だから・・・との事。
メンデニィザが見えないのに更にその向こうにある、今でも時々噴煙を上げるアナタハンが
見えているという事は、アナタハンがそこそこ大きい島であるという事なのだろう。




ボートは相変わらず力強く航跡を描き続けている。
後方の景色はサイパンが見えなくなっている点を除けば、特に何も変わらないままだ。



僕は、いつになったらその小さくて平らな島が見えてくるのか・・・と、
二階席にあたる操舵席に上がり、キャプテンの傍らに陣取っていた。
僕の首に下がっているカメラをみて、「Nice camera・・・ナィコン(nikon)」と。


キャプテンはアメリカ人で、いつもニコニコしていてとても朗らか人柄だ。
僕に話しかける時はわざとゆっくりと喋っていてくれるのか・・・と思いきや、
誰と話す時も(相手がアメリカ人であっても)ゆっくりとした語り口調なのだ。


しばらくしてキャプテンが、「漁船か・・・?」と独り言の様に穏やかに呟いた。
キャプテン自身は以前にもその島に行った事があったはずなのだが・・・
この日はあまりにも海が凪いでいたせいで、ボートが予想以上に早く目的地に
近づいていたのかも知れない。自分の目を一瞬疑った後、


「Oh~、メンデニィザだ・・・」 と。



僕もキャプテンに指された方に目を凝らしてみた。
確かに船のようにも見えるが・・・動いてなさそうだし・・・。


その頃には左前方にアナタハンの影がさっきまでよりもくっきりと見えていたのだが、
メンデニィザと思われる影はアナタハンと比べてはるかに小さく、船と見間違えるほどの大きさだった。
その小さい方の影が、アナタハンよりも手前にある島だというのだから・・・
メンデニィザの大きさが推測される。




キャプテンがデッキにいる者達に、目的の島「メンデニィザ」が見えてきたことを告げる。




その小さかった影も少しずつではあるが確実に大きくなり、
くっきりとした島の輪郭が見えるようになってきた。




おぉ・・・遂に来たか。。。





それまでうたた寝をしていた者も、デッキ後方でぼんやりとしていた者も
こぞって前方が見える場所へ集まりだした。

出航した直後にボートを覆っていた興奮が、再び目を覚ましたようだった。










出航してから2時間半。




僕らはメンデニィザの息吹を感じられる海域に到達していた。。。













その3へ続く・・・













daisuke 33

by daisuke_yanai | 2009-08-28 19:09 | ダイビング
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